パーキンソン病という名前は広く知られているものの、その根本的な原因や体のどの部分と関係しているのかまでは意外と知られていません。この病気は手足の震えや動作の遅れといった症状が目立ちますが、実際には**体の中でも非常に重要な「脳のある部位」**と深く関係しています。今回は、その核心部分についてわかりやすく解説します。
1.パーキンソン病の中心は「脳の黒質」
パーキンソン病と最も深く関係するのが、脳の中脳にある「黒質(こくしつ)」と呼ばれる部分です。この黒質には、ドーパミンという神経伝達物質を作る神経細胞が多く存在しており、体の動きをスムーズに調整する役割を担っています。
2.ドーパミンの減少が運動機能に影響する
黒質の神経細胞が徐々に死滅していくことで、脳内のドーパミン量が減少します。ドーパミンは、脳から筋肉へ「動け」という信号を送るために不可欠な物質です。そのため、ドーパミンが不足すると、震え・動作の遅れ・筋肉のこわばりなど、典型的なパーキンソン病の症状が現れます。
3.体の病気ではなく、脳の病気である
見た目には手足が震える、歩きにくいなどの「体の病気」のように思われがちですが、**本質的には脳の神経細胞が原因の「神経変性疾患」**です。つまり、脳の変化が体の運動機能に影響を及ぼしているということになります。
4.60〜70%の神経細胞が失われてから発症
黒質のドーパミン神経細胞は、かなりの数が失われるまで症状が出にくいという特徴があります。一般的に、約60〜70%が機能を失うと、症状が現れ始めるとされており、発見が遅れる原因にもなっています。
5.ドーパミン不足が引き起こす症状とは?
ドーパミンが不足すると、自分の意思通りに体を動かすことが難しくなります。それによって、歩くときに足が前に出にくい、表情が乏しくなる、声が小さくなるといった症状が現れます。これらはすべて、脳が筋肉にうまく指令を送れないことによる結果です。
6.予防や進行の抑制にできることはあるのか?
現在、パーキンソン病を完全に防ぐ方法は見つかっていませんが、適度な運動・バランスの良い食生活・腸内環境の改善が、神経機能の維持に役立つ可能性があるとされています。また、早期発見と早期治療が生活の質を保つうえで非常に重要です。
まとめ:体の症状は脳の変化の現れ
パーキンソン病は、体の症状を通じて脳の異変に気づくことができる数少ない病気です。表面的な症状にとらわれず、その背景にある「脳の黒質」の働きを正しく理解することが、患者本人だけでなく支える人たちにとっても大切です。