パーキンソン病の進行にともない、「日常生活に支障が出てきた」「家族だけでは支えきれない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなとき、生活の負担を軽くするために使える制度のひとつが「介護保険制度」です。
この制度を上手に活用することで、訪問介護・デイサービス・福祉用具のレンタルなど、日常生活を支援するサービスを受けることができます。
今回は、パーキンソン病患者が介護保険制度を利用できる条件や、申請の手順、受けられるサービス内容についてわかりやすくご紹介します。
パーキンソン病は介護保険の対象になるの?
原則として、介護保険のサービスを利用できるのは65歳以上の高齢者ですが、パーキンソン病の方は、**特定疾病(16疾患のうちの1つ)**として、40歳から64歳でも利用可能です。
つまり、パーキンソン病と診断されていて、要介護認定を受ければ、年齢にかかわらず介護保険サービスの対象になる可能性があります。
介護保険で受けられる主なサービス
パーキンソン病患者が介護保険で利用できる支援は、症状や生活状況に応じてさまざまです。
- 訪問介護(ヘルパー)
食事・入浴・排泄などの介助を自宅で受けられる - 通所リハビリ(デイケア)・デイサービス
日帰りで機能訓練や食事、レクリエーションが受けられる - 福祉用具の貸与・購入補助
歩行器・手すり・電動ベッドなどのレンタルや購入補助 - 住宅改修費の支給
手すり設置・段差解消・滑り止めなどの工事費を最大20万円まで助成 - ショートステイ
一時的に介護施設で生活支援を受ける(家族の負担軽減にも)
これらのサービスは、要介護度に応じて利用回数・金額の上限が決まっています。
申請の流れ(要介護認定)
介護保険のサービスを利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。
- 市区町村の窓口(介護保険担当)に申請
- 訪問調査(自宅に職員が訪問し状態を確認)
- 主治医の意見書の提出
- 介護認定審査会により「要介護度」が決定
- 結果通知(原則30日以内) → ケアマネジャーと相談してサービス利用開始
要介護度の基準(パーキンソン病の場合)
認定区分 | 状態の目安 |
---|---|
要支援1・2 | 軽いふらつきや疲れやすさがあるが、自立して生活可能 |
要介護1〜2 | 日常生活に支障あり/外出・調理・入浴などに支援が必要 |
要介護3〜5 | 自力歩行困難/食事やトイレに介助が必要なレベル |
症状が進行するにつれ、介護度も変わるため、**定期的に見直しの申請(更新)**も可能です。
費用はどれくらいかかる?
介護保険サービスの自己負担は**原則1割(収入によって2割または3割)**です。
たとえば、訪問介護を月に数回利用した場合、1カ月あたり数千円〜1万円台の負担で済むケースが多く、自己負担額は比較的軽めです。
まとめ|安心して生活を続けるための大切な制度
パーキンソン病と診断されたからといって、すぐに生活が困難になるわけではありません。
でも、もし困ったときに制度があることを知っているだけで、大きな安心感につながります。
介護保険制度は、患者本人だけでなく家族の負担も軽くするための強い味方。
余裕をもって生活を送るために、早めに市区町村の窓口や主治医に相談してみましょう。